データセンターコラム Vol.1

2016年01月22日

データセンター特化したコラムをアップしました。
今回のライターはビットアイル・エクイニクス社の鎌田氏によるコラムです。
是非ご覧いただけましたら幸いです。

社内ITシステム管理者の苦悩からの脱却
データセンター活用のための検討ポイントと更なる
「攻めの情シス」になるために!!

社会インフラとしてのネットワーク環境

水道・電気は日常生活に欠かせない社会インフラですが、今日ではインターネット通信インフラも欠かせないものとして定着してきています。 2015年に調査会社が調べたデータでは、日本では一人1.6台のインターネットに繋がるモバイル端末(スマートデバイス)を利用しているというデータもあるくらい、多くの機器がインターネットを介して、様々な情報を収集したり、逆に配信したりしています。
IoTの活用も今後活発になることが予想されており、インターネット上でデータが飛び交うことはますます増えていく傾向にあります。

そのインターネットを形成している要素の1つとして、ネットワーク機器やサーバ、ストレージなどを安全に安定稼働させるための拠点であるデータセンターがあります。 今回は、社会インフラの一翼を担うデータセンターに焦点を当て、データセンターの役割と活用をお伝えしていきます。 様々な企業内のシステムの設計、構築、運用に携わっている方々に向けて、現在か抱えている社内システムとどのように向き合っていくか、検討していただくきっかけになれば幸いです。

項目

・とある企業の情報システム部担当の日常
・セキュリティの運用課題
・データセンター活用という選択肢
・検討ポイント
・更なるデータセンター活用に向けて

とある企業の情報システム部担当の日常

 ここで、具体例にデータセンター活用を説明するためにある企業の情報システム部担当の日常、起こりうる課題を基に説明してみたいと思います。

 

想定企業プロファイル

 社員数500名規模、端末数 約1000台の企業と仮定。
 端末は、業務によって偏りはあるが、ノートパソコン、スマートフォン、タブレット端末の3種類を使い

 分けて業務を行っている社員が多く存在しているものとする。
 営業所は、北は北海道から南は九州まで各主要都市8拠点ほどあり、1拠点あたり10数名の社員で構成さ

 れているものとする。
 非IT企業であり、社員のITリテラシーがそれほど高いとは言えないが、業務で利用するシステムは使い

 こなしながら業務を遂行している。
 その企業の情報システム部が抱えているサーバが30台ぐらいあり、それを3名の情報システム部の社員

 で面倒見ている。

 

 情報システム部の社員は、社内ITシステムの面倒とヘルプデスクも兼ねており、事あるごとにシステムを利用している社員(以下、社内ユーザー)に呼ばれ、本来行う必要のある社内ITシステムの改善業務が滞ってしまっているのが目下の課題です。 人手が常に足りない状態が続いていますが、直接利益を生まない間接部門という認識が経営層にあり、なかなか人員を増やすことはできません。 戦略的なIT投資が行えず、場当たり的なITシステムが増えており、中には社内ユーザーが自分たちの部署の業務効率を上げるために情報システム部が管理していないサーバを社内LAN上で稼働させていたり、SaaSを直接契約して利用していたりする場合もあります。

 

ある企業の現状のまとめ

・非IT企業で社員のほとんどはパソコンやスマートフォンに詳しくない。
 → ちょっとしたことでヘルプデスクに問合せをしてくる社員が多く、雑務に追われてしまっている。
・情報システム部の人員は常に人手不足。消化不良のタスクが多数残ってしまっている。
・経営層の鶴の一声で社内ITシステムに変更を加えられることが多い。
・シャドーITが蔓延っており、自社で利用されているシステムの全容が見えない。

 

セキュリティの運用課題

 このような状態のため、情報システム部がシステムの全容を把握できず、不用意にシステムの拡張や修正を行うことが困難になっています。 また、保守が切れたハードやソフトウェアもあることは把握していますが、利用者がいるため、簡単には利用を止めたり、バージョンアップしたりすることができないという問題も抱えておりました。 情報システム部の担当としては、クラウド利用によるコスト削減や運用改善も頭の隅では常に思っているが、現状のシステムを鑑みるに、現実的にはパターン化や標準化が難しいシステムばかりのように思えてなりません。 特に問題なのは、物理的に点在しているサーバやシステム群を集中的に管理できない状態なので、本社と支社など、現場の移動に時間と労力が奪われているのを実感していました。 また、サーバルームにはUPSも設置はしてあるのですが、サーバ全体を賄うには数時間しか持たないため、ビルの法定点検などがある際は、システムを一旦全停止しなければいけなくなり、その間、業務に支障をきたしていたという問題もありました。

 

現状、見えている課題

・把握していないシステムをどのように調査していくか。
・ハードやソフトウェアのライフサイクルの問題。
・異なるロケーションにITシステムが点在するため、リモートでは対応できない保守がどうしてもあり、
 移動時間も多く発生している。
・ハードもソフトウェアもセキュリティ対策が滞っており、物理的セキュリティにも不安がある。
・安定した電源供給。ビルの法定点検など計画的に止める必要もある。
・ハード安定運用のための空調設備への不安と、電気代高騰によるサーバルーム維持コストの増加。

 

データセンター活用という選択肢

 そんな中、本社ビル移転の話が持ち上がり、社内に置いてあるサーバなどのITシステムの移設を行う必要が余儀なくされました。 老朽化が進んでいた本社ビルは、取り壊すことが予定され、新たに新社屋を空いている敷地に建てる計画になっておりました。 新たに立てる本社ビルにサーバルームを作ることも考えましたが、今までと同じような問題を抱えることが想定されるため、これを機に社内ITシステムの整理と物理的セキュリティ、運用の一部をアウトソーシング化することを考慮し、データセンターへの移設を検討することにしました。 データセンター利用の際のメリットは下記のことが挙げられます。

 

データセンターのメリットの一例

・今まで利用してきた環境に近い構成を再構築することができる。(システム構成の柔軟性)
・パブリッククラウドやホスティングとは違い、他社と相乗りしない独立した環境を利用できる。
・データセンター内に、プライベートクラウドを構築することで、クラウドの利便性をそのままに、
 自由度の高いネットワーク構成、サーバ構成をとることができる。
・運用の一部をアウトソーシングすることで、人的リソースの最適化を図ることができる。
・安定した電源供給。
・一定温度の空調設備。
・主要IXとネットワーク的に近く、安定したネットワーク環境を実現。
・耐震性、耐火性などに強く災害時にも耐えうる強固な建物。
・不審者はシステムに近づくことができないセキュリティ設備と体制。


一方、自社のサーバルームで運用していた時のメリットは下記のことが挙げられます。

・社内ITシステムの中核をなすサーバ群はいつも身近なところにあり、万が一の緊急時には駆けつけやす

 い。(設置場所の近さによる運用上のメリット)
・社内ITシステムを構成するソフトウェアやネットワーク機器、サーバ、ストレージなどの選択、システ

 ム設定の自由さ。(ITシステム構成の自由度)
・必要に応じてネットワークセグメントや帯域の増減を行うことができ、WANやインターネット回線の事

 業者の選択に制限がない。(ネットワーク構成の自由度)

検討ポイント

 検討する上で、課題、データセンターのメリットの享受、社内サーバルームのメリットをどこまで残せるかを下記の項目ごとに見ていきましょう。

■データセンターの立地

 緊急メンテナンスや障害発生時を想定し、駆けつけが必要なときのアクセス利便性を検討しておく必要があります。また、災害時の地域危険度レベル調査の内容も確認するとよいでしょう。

■耐災害性

 検討しているデータセンターが、これまで災害時にどのような対策、対応をしてきたかを確認するとよいでしょう。

■セキュリティ

 データセンターでのセキュリティは物理的セキュリティの側面をカバーします。
 敷地内への特定の入出口、エントランスでの受付による入退出管理、ゲートによる物理的侵入防止、鍵付きラックによる重要機器の盗難、物理的アクセスの防止、そしてこれらの場所を巡回警備と監視カメラ等による監視体制など多岐にわたったセキュリティ対策を行っております。
日本データセンター協会が発行しているデータセンターセキュリティガイドブックを参考にして見るとよいと思われます。

日本データセンター協会 データセンターセキュリティガイドブックの公開
http://www.jdcc.or.jp/news/article.php?nid=c81e728d9d4c2f636f067f89cc14862c&sid=114

■空調

 データセンター見学を行い、実際にラックのまわりの空調が一定に保たれているか確認します。
 空気の対流の関係から場所によって温度上昇になりやすい場所がないか実際に行って確認するとよいでしょう。

■空きスペース

 システム増強の見込みがあり、ある程度の期間に複数本ラックを借りる必要がある場合、その旨をデータセンター側に伝えて、空きラック在庫がどの程度あるか確認するとよいでしょう。

■電力

 1ラックあたりで利用可能な消費電力値(実効電力値)を確認しましょう。この数値が低いとラックあたりのハード集積率が下がり、複数のラックを借りる必要がでる場合があります。

■回線

 ラック内のローゼットまでどのような経路でネットワーク回線が引かれるのか確認してください。
 また、ご利用するWAN回線やインターネット回線など引き込むことができるかデータセンター、回線業者などに確認するとよいでしょう。
 データセンター事業者によっては引き込みできる回線に制限をかけている場合もあります。

■サポート体制

 24時間365日のサポート体制があるところがほとんどですが、そのサポート内容と体制について確認してください。
 考えられる障害や災害を想定したパターンに沿って、対応できるかどうかデータセンター事業者に確認してみるとよいでしょう。

■サービスメニュー

 データセンターによってはハウジングサービス以外に運用サービスや回線サービス、業者によってはクラウドサービスなども提供している場合があります。
 移設したいITシステムの内容について相談し、最適な提案を聞いてみるのもよいでしょう。
 また、サーバやネットワーク機器のレンタルサービスがあるところもあり、保守を肩代わりしてくれるサービスもあります。
 このように、どのようなサービスメニューがあり、どのような対応を行ってもらえるのかを教えてもらうことができます。
 この時、どこまでがデータセンター事業者の責任範囲で、どの範囲までが自分たちの責任なのか明確に示してもらうことが後々トラブルにならないためには重要なことです。
 具体的にどのような時に、どのような対応をしてもらえるのかぶつけてみるのも検討する上ではよいでしょう。

■その他の検討項目

 企業の規模やITシステムによっては業務や業界ならではの固有のガイドラインがあるか確認してみてください。
 医療関係であれば厚生労働省や経済産業省が発行しているガイドラインがあり、金融関係なら公益財団法人金融情報システムセンター (FISC)が作成した安全対策基準などがございます。
 また、ガイドライン以外にもエネルギー利用の報告義務が課せられている地域もあります。
 例えば東京都なら、地球温暖化対策のため、所有している事業所や使用しているテナント、工場などの原油換算エネルギー使用量が一定基準以上の場合、報告書の提出が義務化されています。また、事業所毎のエネルギー使用量削減のため、データセンターへの移設を推奨しており、より省エネ性能の高いデータセンターに「東京都環境配慮型データセンター認定」という制度も運用しています。
 詳しくは、東京都環境局のWebサイトをご覧ください。

中小規模事業所のクラウド利用による省エネ支援事業(クラウド化支援事業)
http://www.kankyo.metro.tokyo.jp/climate/businesses/cloud27.html

環境に優しいデータセンター認定について
http://www.jdcc.or.jp/greendc/

更なるデータセンター活用に向けて

 データセンターを利用して社内のITシステムを運用することで、今までの運用を安全で効率的にすることはできましたが、それ以上に大きなメリットは、ネットワークのコネクティビティの柔軟性にあります。
サーバリソースが足りなくなれば、セキュアなネットワーク上でクラウド利用が可能になったり、営業拠点などが増えれば、WANを拡張したり、VPNで接続したりなど柔軟な接続が可能になります。
DSolデータセンターであれば下記のようなサービスと組み合わせて利用することも検討できるので、社内ITシステムの安定的な運用や機能拡張に大きく期待ができます。

・ウイルス対策
・VPN認証
・操作ログ管理
・ファイル共有
・ワークフロー
・VDI・RDS
・バックアップサービス

このように業務システムや基幹系のシステムをデータセンターで運用することで、システムのセキュリティや安定運用のための仕組み、更なる利便性を高めるためのサービスを組み合わせて利用しやすくなります。
一から機材やソフトウェアを準備して環境構築を行うよりも手間なく、スムーズに導入することが可能になります。 そして運用の一部をアウトソーシングすることで、運用の手間も大幅にかからなくなり、その分の工数を「攻めるべき事業」へ回すことが可能になることでしょう。
まさにこれこそ、「攻める情シス」への第一歩であります。

後々、SaaSやPaaSなどクラウド環境を組み合わせて利用することで、経営層へのIT投資の最適化提案やビックデータ、BI(Business Intelligence)、機械学習などを使って業務分析システムのためへの仕組みや売上予測システムの導入など「攻める情シス」へと繋げていけるようになります。
ここで重要になってくるのはセキュアで低レイテンシーのネットワークによる安全で安心な環境が重要であります。

DSolデータセンターであれば、これらのサービスを組み合わせて利用することで、高度なITILに即した運用のみならず、トータルソリューションとしてご提案することができることが強みです。 是非、データセンター利用の際はご検討の候補に入れていただけましたら幸いです。



<筆者>

ビットアイル・エクイニクス株式会社
マーケティング本部プロダクトマーケティング部
主任 鎌田 健太郎氏

以前はSI会社で、コンテンツの大規模配信システムの開発を得意とするプリSEとして従事する傍ら、テクニカルライターとして配信技術やツールの解説などの記事を執筆。 現職では、プライベートクラウドサービスのサービス企画・開発を経て、ビットアイル・エクイニクスのクラウドサービスとコロケーションサービスを組み合わせたハイブリッドクラウド活用 の紹介を主業務として講演や執筆を行う。

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